食品総合研究所、グルテン不使用で米粉100%のパンの新しい製造技術を開発

グルテンを使用しない米粉パンの製造技術が開発されたとのことです。
小麦アレルギーの方でも安心して食べることのできる米粉パンが製造可能になるとのことで、朗報です。

食品総合研究所、グルテン不使用で米粉100%のパンの新しい製造技術を開発

米粉100%(グルテン不使用)パンの新しい製造技術の開発
−食料自給率向上・米粉需要拡大への貢献−



●ポイント
 ・デンプンの性能を生かした米粉100%パン(グルテン不使用)の製造技術を開発。
 ・パン以外の、新しい米粉製品の開発への利用が期待できる。
 ・食塩の添加を必要としないので、減塩食品の開発にも応用が期待。


■概要
 1.これまでに開発されてきた米粉パンにはグルテンが添加されており、小麦アレルギーの方は摂取できないなどの問題点がありました。(独)農研機構 食品総合研究所は、米粉100%パン(グルテン不使用)の新しい製造技術を開発しました。
 2.グルタチオンは生物の体内に広く存在し、サプリメントにも使用されていますが、これを米粉パンの発酵前に生地に添加することで米デンプンを糊化・膨潤しやすくし、パンの容積をグルタチオン未添加に比べて約2.4倍に高めることに成功しました。この成果は、国際誌Journal of Agricultural and Food Chemistryの電子版(6月3日号)に掲載されます。本研究成果の実用化により、米粉の消費拡大に貢献することが期待されます。
 3.本技術はグルテンの添加を不要とするもので、パンだけでなく新しい米粉製品の開発への利用も期待できます。
 4.また、本技術はグルテンを使用するときのように食塩の添加を必要としないため、減塩食品の開発にも応用が期待されます。
 5.今後は広く民間から共同研究者を募り、本基盤技術の実用化・製品化を推進します。

 予算:交付金
 特許:特願2009―213373


■開発の社会的背景と研究の経緯
 食料自給率の向上のため、我が国の基幹農産物である米の消費を拡大してゆくことは、重要な研究課題となっています。これまで、小麦に含まれる蛋白質グルテン)を添加した米粉パンが開発されてきましたが、小麦アレルギーの方は摂取できないなどの問題点がありました。そこで農研機構では、グルテン不使用の米粉100%パンの研究開発に取り組んできました。


■研究の内容・意義
 ※添付の関連資料を参照


■今後の予定・期待
 本研究成果は100%米粉パン(グルテン不使用)をはじめ、米粉を原料とした新しい食品の開発に広く利用が期待できます。また、食塩を全く添加しなくてもパンが膨らむため、減塩食品の開発にも利用できます。
 また、この原理を利用した他の穀物の加工への応用も期待されます。


■用語の解説
 ・グルタチオン
  3つのアミノ酸からなるトリペプチド「γ−L−グルタミル−L−システイニルグリシン」で、広く生物が持っています。
 ・グルテン
  小麦由来のタンパク質で、その粘り気が、パン酵母が出す発酵ガスを閉じこめるため小麦パンが膨らみます。米はグルテンをもたないため、ほとんどの米粉パンでグルテンやそれに代わる増粘剤が添加されています。

詳しくはこちら
http://www.nfri.affrc.go.jp/
プレスリリース(PDFファイル)
http://www.nfri.affrc.go.jp/research/press/100602.pdf